不動産の登記簿を見ると、家屋番号や構造と並んで記載されているのが「建物の種類」です。
その建物がどのように使われているのかを示す重要な情報になります。
今回は、不動産登記における建物の種類の考え方や代表的な分類、変更が必要となるケースなどを解説します。
不動産登記規則第113条によれば、主な区分として、以下のように分類されます。
区分 | 説明 |
|---|---|
居宅 | 個人や家族が日常的に居住するための建物。いわゆる一戸建て住宅や二世帯住宅などが該当する |
店舗 | 商業活動を行うための建物。物販店、美容室など、お客を相手に営業を行う施設が該当する。居宅と併用される場合は「居宅・店舗」と併記される場合がある |
寄宿舎 | 学生や労働者などが集団で共同生活を送るための建物。学校の寮や会社が所有する社員寮などが代表例。共同住宅との違いは、生活管理や使用目的が組織により一体的に運営されているかどうか |
共同住宅 | 複数の世帯が独立して生活するために区分された建物です。マンションやアパートが典型 |
事務所 | 業務や事務作業を行うための建物。企業のオフィスや士業の事務所などが該当する。実際の利用目的が営業ではなく、管理・執務中心である点で「店舗」と区別される |
旅館 | 宿泊を業として営む建物です。旅館業法に基づく許可を受けて営業される建物が該当する |
料理店 | 主として飲食を提供することを目的とする建物。飲食店のうち、料亭や割烹などが該当する |
工場 | 製造業や加工業などの生産活動を行うための建物。食品加工場や自動車工場、印刷工場などが該当する |
倉庫 | 物品を保管することを主な目的とする建物 |
車庫 | 自動車を収容する建物です。個人住宅のガレージやマンションの立体駐車場なども車庫に含まれる |
発電所 | 電気を生産するための建物を指します。火力発電所、水力発電所、太陽光発電施設などが該当する |
変電所 | 発電所で作られた電気を、各地域や施設に供給するための建物 |
登記規則で定められた類型に収まらない建物については、不動産登記事務取扱手続準則第80条によって、以下のように分類されます。
社会的な役割や特殊な利用目的を持つ建物でも、準則に従って細かく区分される仕組みになっています。
建物の種類は、その建物の主たる用途によって登記簿に記録されます。
しかし、建物は長期間利用されるものであり、その間に用途が変わることも少なくありません。
用途が変わった場合、建物の種類変更登記が必要です。
具体的に同様なケースで登記が必要になるのかを解説します。
当初「店舗」として登記されていた建物を、改装して居住用として利用するようになった場合です。
実態として居宅であるにもかかわらず、登記簿には「店舗」と記載されたままだと、売買や融資の際に用途の不一致を指摘される可能性があります。
こうした場合には「居宅」へ変更登記を行う必要があります。
「居宅・店舗」として登記されている建物で、将来的に店舗部分を廃止して完全に居住専用にした場合なども同様です。
主な用途が「居宅」に限定されるため、登記内容もそれに合わせて修正する必要があります。
「共同住宅」として建築・登記されていた建物を、学校法人や企業が一括借り上げして「学生寮」「社員寮」として利用するケースがあります。
実態としては「寄宿舎」に該当するため、登記簿の種類も変更しなければなりません。
共同住宅と寄宿舎では法規制の扱いも異なるため、登記変更を怠ると後々問題になります。
近年では、空きオフィスをリノベーションして住居用マンションに転用するケースも見られます。
登記上「事務所」とされている建物を「共同住宅」として利用する場合は、種類変更登記が必要です。
不動産登記は、不動産登記法や不動産登記規則などの法律に基づいた専門的な手続です。
必要な書類や記載方法には細かなルールがあり、少しの不備でも法務局から「補正指示」を受けてやり直しになることがあります。
司法書士は登記のプロとして、法律知識と実務経験を活かし、最初から正確な手続を進められるため、安心感があります。
また、手間と時間を大幅に削減できるのも司法書士に相談するメリットです。
登記申請には、金融機関や役所から各種証明書を取り寄せたり、申請書を作成して法務局に提出したりと、多くの工程があります。
慣れていないひとが自分で行おうとすると、調べながら準備に膨大な時間がかかりがちです。
司法書士に依頼すれば、必要な書類の案内から収集方法、申請まで一括して任せられます。
不動産登記に記載される「建物の種類」は、単なる形式的な区分ではなく、建物の用途を正確に示す大切な情報です。
用途が変わったにもかかわらず登記を放置すれば、登記簿と実態が食い違い、思わぬ不利益を被る可能性もあります。
そのため、状況に応じて種類変更登記を行い、常に登記簿を現況に合わせるのが重要です。
不動産登記に不安があるときには、登記手続に強みを持っている司法書士に相談してください。