不動産登記は、土地や建物などの不動産の所有権や権利関係を明確にするための重要な手続きです。
不動産登記にはいくつかの種類があり、それぞれ異なる役割を持っています。
本記事では、不動産登記の種類とその役割について、具体的な手続きの流れも交えて解説します。
不動産登記とは、土地や建物などの所在地や面積、所有者の名前や住所などを帳簿(登記簿)に記録し、その情報を公開することで権利関係の状況を誰でも確認できるようにし、取引の安全性と円滑化を図る制度です。
登記を行うことで第三者に対して権利を主張できるようになり、所有権や抵当権などを法的に保護します。
売買や相続、贈与など、不動産の権利が変動する際には必ず登記が必要であり、適切な登記を行わないと、法的トラブルに巻き込まれるリスクがあります。
不動産登記の種類とそれぞれの役割についてご紹介します。
不動産登記の種類は、代表的なものとして主に以下の3つがあります。
次から詳しく解説していきます。
建物表題登記とは、建物を新築した際に行わなければならない登記で、その建物が正式に登記簿に登録され、法的に保護されます。
表題登記には、建物の所在地、構造、床面積、所有者などの基本情報が含まれており、固定資産税の課税にも大きく関わってきます。
そのため、増改築によって床面積が変わったり、取り壊しや災害などによって建物自体がなくなったりした際にも、表題登記をする必要があります。
この手続きは建物を新築、増改築または滅失(取り壊しや災害により失うこと)した後1ヶ月以内に行う必要があり、手続きを怠ると罰則があります。
また、表題登記が完了していないと、その後の所有権保存登記や抵当権設定登記が行えないため、注意が必要です。
所有権保存登記とは建物を新築した際に行う登記で、その不動産の所有者が自分であるということを公にし、対外的に主張できるようになるものです。
また、その不動産を売買や相続、贈与などで取得した場合には、所有権移転登記を行うことで所有者の名義が変更されます。
この所有権保存(移転)登記は権利を主張するための登記(権利登記)であり、義務ではないので手続きを行わなかったとしても特に罰則などはありません。
しかし、対外的にこの不動産の所有者は自分であるということを主張できないため、様々なトラブルの原因になる可能性があるという点で注意が必要です。
抵当権設定登記とは、住宅ローンなどを借入する際に行う登記で、手続きは金融機関が代行することが一般的です。
債権者である金融機関が、土地や建物を担保として抵当権を設定することで、借入金が返済されない場合にその不動産を競売にかけ、債権を回収する権利を確保します。
住宅ローンの他、リフォーム資金、教育資金、事業資金の借り入れなどにも用いられます。
また、借り入れた資金を返済し終えた際には、自ら抵当権を抹消する抵当権抹消登記を行う必要があります。
債権者(金融機関)との間で合意した上で、自身(または自身が指定した司法書士)により手続きを行います。
最後に、不動産登記の手続きについて説明します。
不動産登記の手続きには、以下の2点が必要になります。
まずは、登記のための申請書を作成する必要があります。
登記申請書には登記の目的、申請者の住所・氏名、物件の詳細などを記載します。
登記申請書の様式は法務局のホームページに掲載されており、記載例と共に入手することができるので活用してみましょう。
必要書類は登記の種類によって異なりますが、一般的には建築確認書や売買契約書、登記識別情報(権利証)、住民票、印鑑証明書などが必要です。
不動産登記の手続きには登記費用として、登録免許税が課され、登記手続きの際に納付します。
登録免許税は不動産の評価額や登記の種類によって異なりますが、原則として次のように算出します。
登録免許税=(固定資産税評価額)×(税率)
固定資産税評価額とは、市区町村が管理する固定資産課税台帳に記載された土地や家屋など不動産の評価額を指し、毎年市町村から送られてくる「税額決定(納税)通知書」に添付された「課税資産明細」の欄で確認することができます。
不動産登記は、所有権や権利関係を法的に保護するために必要不可欠な手続きです。
各種登記の役割と手続きを理解し、適切な書類の準備や注意点を押さえることで、スムーズに登記を進めることができます。
トラブルを避けるためにも、必要に応じて専門家に依頼することを検討してみましょう。